【体験談】フィンランド大学院のインターナショナル・マスター・プログラムとは?
この記事では、フィンランドにあるユヴァスキュラ大学の英語で行われる修士課程、Internatioanl Master's Programme (インターナショナル・マスターズ・プログラム)をご紹介します。
フィンランド留学や大学院留学に興味のある方におすすめの記事です!フィンランドにいながら、英語で様々な国や地域出身の学生と共に学べる、そんな面白い環境での体験もお伝えできたらいいなと思います。
それでは、最後までお楽しみください!
フィンランドの大学院
フィンランドって憧れるけど、フィンランド語できないし留学は難しいかな...?
と、私も最初は思っていました。ですが、フィンランドには英語でできる修士課程がある大学がいくつかあり、フィンランド語がほとんどできなくても英語力を活かして勉強・研究できる環境があります。私の通うユヴァスキュラ大学もその一つです。
12月のユヴァスキュラ大学。雪に覆われています
インターナショナル・マスター・プログラムとは
ユヴァスキュラ大学では、フィンランドにいながら英語で修士課程ができるInternational Master Programmeがあります。大学の6つの学部には、英語で行われるプログラムが15種類以上あり、多様な国から集まる仲間と共に学び、研究することができます。
私の所属するプログラムには、日本(私)、スペイン、中国、フィンランド、ロシア、パキスタン、ネパール、スリランカ、パレスチナ、アメリカ出身の学生がいて、フィンランドにいながらもインターナショナルな環境で学ぶことができます。
フィンランド人の学生も、もちろんいるよ!
ユヴァスキュラ大学では、教育やビジネス、スポーツや人文科学など幅広い分野で修士レベルの勉強・研究ができます。以下は、大学の6つの学問分野です。
Educational sciences
Sports and health sciences
Mathematics and natural sciences
Information technology
Business and economics
Humanities and social sciences
どんなプログラムがあるの?
ユヴァスキュラ大学の15種類以上のInternational Master’s Programmeでは、さまざまな分野の修士課程を英語で行うことができます。どんなプログラムがあるか、その一部をご紹介します↓
International Master’s Programme (2022年度現在)
最新の研究手法と実験設備を用いて、生物・環境科学における科学的な疑問に答え、実践的な問題を解決することを学ぶプログラム。水生科学や生態学・進化生物学などの専門分野を選択することも可能で、学習計画をカスタマイズすることができる。
HP:Biological and Environmental Science
脳化学とデータサイエンスの両方の分野において深い知識を持つ研究者や、精神、脳、病気といった人間が直面する複雑な問題を調査/研究する専門家を育てる学際的なプログラム。
HP:Brain and Data Science
環境に焦点を当てながら、企業の持続可能性の専門家を目指せるプログラム。学際的なアプローチによって、卒業生はビジネス生活の中で環境問題に対処できることを目指す。
HP:Corporate Environmental Management
グローバル化した世界での多様な場面で教育の質を高めることができる、国際的指向の教育者を目指せるプログラム。学生は、教育における国際的な問題の特定の意識と教育の分野の広い理解を得ることができる。
HP:Educational Sciences
他にも、スポーツサイエンスや言語とコミュニケーションといったプログラムがたくさんあるので、気になる方はぜひ大学のホームページでご自分に合ったプログラムを探してみてください!
ユヴァスキュラ大学のInternational Master’s Programmeはこちら
【私のプログラムを紹介】
ここまでいくつかのプログラムを紹介してきましたが、ここで私が現在学んでいるプログラム「Language, Globalization, and Intercultural Communication(以下LAGIC)」をご紹介します。
LAGICとは
LAGICは、①グローバル化する世界における応用言語研究と②現代の異文化間コミュニケーションにおける問題に焦点を当てた、2年間の学際的なコースです。
プログラムでは、多言語主義、ディスコースと権力、メディア、移民などの言語とコミュニケーション関連の問題、そして異なる文化的背景を持つ人々がお互いにどのように相互作用するかを、様々な理論・事例をもとに研究します。
LAGICは、こんな疑問を追究・研究したい人におすすめのプログラムです。
・言語と文化は社会でどのような役割を果たしているのか
・メディア、ディスコース、権力はどのように結びついているのか
・言語学習とアイデンティティの問題を人々にどう理解されているのか
なぜLAGICを選んだのか
私がなぜLAGICを選んだのかを、少しだけお話しします。
日本にいた頃、私の周りには「〇〇人はXXだ」のような決めつけをする人が多くいました。もちろん、私もその1人でした。でも、大学3年の時に受講した「異文化コミュニケーション」の授業を通して、見た目や国籍に基づいた判断をする/されることに違和感を覚えるようになりました。
「〇〇人はXXだ」のような決めつけや思い込みはどこから来るのか。なぜ私たちは個人を見ようとする前に、国籍や見た目、言語といった情報に基づいて人をジャッジしてしまうのか。この疑問から、テレビなどのメディアが作り出す「外国人ステレオタイプ」(⇦私の卒業論文のテーマでした)に関心を持ち、ステレオタイプや文化的アイデンティティに興味を持つようになりました。
学部で興味を持った分野を、より極めようと思ったんだね!
これが、異文化コミュニケーションの分野を選んだ、最も大きなきっかけです。また、私は大学2年時までクラシックの声楽を専攻しており、イタリア語やドイツ語などの外国歌曲を歌っている時から言語や文化に関心がありました。そのため、異文化コミュニケーションだけでなく、言語研究にも触れられるプログラムであるLAGICを選びました。
さらに、長い間趣味として続けてきた英語学習やインターナショナルスクールで働いていた経験から、言語教育にも大変関心があったので、LAGICの内容が自分にぴったりだと思い、このプログラムを選びました。
どのような授業があるのか、次回の記事でより詳しくご紹介できたらいいなと思います。LAGICが気になる方は、こちらからウェブサイトにアクセスできます!
学費
「フィンランドは学費が無料」という話を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。残念ながら、2016年よりEU圏外の学生は学費を払わなければならなくなりました。
私のプログラムの学費は、年間8,000ユーロ(2022年12月時点で1,125,878円)です。プログラムごとに若干学費は異なりますが、ユヴァスキュラ大学のInternational Master's Programmeでは8,000ユーロ〜12,000ユーロとなっています。
学費、安くはないよね...。大学からの奨学金はあるのかな?
たしかに、学費は安くはありません。ですが、大学からの奨学金を受けられる可能性もあります。入試の成績上位者は、学費が全額または50パーセント免除される特典があるため、希望を捨てずに挑戦してほしいです。
インターナショナルプログラムの魅力
ここからは、International Master’s Programmeの魅力をさらにお伝えしていきたいと思います!2年間の修士課程のうち、まだたった4ヶ月目ですが、私が素敵だと思うのは以下の点です↓
多様な価値観に出会える
前述の通り、私のプログラムにはおよそ10カ国から学生が集まっています。大学のホームページで「100+ NATIONALITIES」とうたっているように、大学全体で見てもかなり多様な国からやってきた学生に出会うことができるんです。
グループワークや普段の交流を通して、クラスメートから新しい物の考え方や知識を学ぶことができるよ!
日本にいる頃、真面目な性格な私は「こうであるべきだ」や「これは普通じゃない」といった考え方に陥りやすいタイプだったのですが、ユヴァスキュラ大学に来て様々な学生と交流するうちに「こういう考え方もあるんだな」と違う角度からの考え方や他者の意見を聞けるようになりました。
お父さん・お母さんも学生!?
また、これはフィンランドならではだなぁと思うのですが、2歳から5歳程度のお子さんを持つお父さん、お母さんも修士課程をしていらっしゃいます!私のプログラムにも数人のお母さんと1人のお父さんがいます。親目線で意見を言ってくださるので、ディスカッションではいつも彼らの話から多くの学びを得られます。
みなさん様々な国や文化圏で子育てをしてきた人たちなので、日本やフィンランドとはまた異なる教育方法についていろいろ聞くのは面白いです!
さらに、自分の会社を運営しながら修士課程をしていたり、働きながら大学に通っている人も多いです。生きてきた環境や人生経験がみんな少し/大きく異なるので、このたった4ヶ月の間に授業以外で学んだことがたくさんあります。
この4ヶ月で、他学生との「異」だけでなく、意外な「共通点」もたくさん見つかりました。正直、留学前にはネガティブな印象を抱いていた国はあります。でも、実際にその国や地域から来た学生と共に生活をすると、いかに私の「思い込み」が大きかったかを実感できました。
ネガティブなステレオタイプがなくなるって、いいことだね!
多様な英語に出会える
日本にいる頃は、「英語」といえばアメリカ英語、イギリス英語、オーストラリア英語、カナダ英語…、のように枠にはめて考えていました。あたかもこの数種類しか英語が存在しないかのような、そんな錯覚に陥っていたんです。
ユヴァスキュラ大学で様々な学生と出会って、世界ではいかに多様な英語が話されているのかを知りました。多様なアクセントはもちろん、使うボキャブラリーや文法も少しずつみんな違います。
英語は「どこかの国」が所有するのものじゃなく「みんなのもの」だと実感しました
日本で英語を学んでいる頃、「完璧な英語」や「ネイティブな英語」という言葉に囚われがちでした。たしかに、スムーズなコミュニケーションにはクリアな発音や正確な文法が必要です。でも、そこにばかり囚われていては、自分の意見を発信しにくくなる気がします。
また、近年よく見る「ネイティブ」へのこだわりは、いわゆる「英語圏」以外の人の英語を少し見下す態度に繋がりかねないと思います(こういう「言語とイデオロギー」関連のこともLAGICで学びます)。過去にイギリス英語に傾倒していた私にも、そういう態度がなかったとは言えません。
人が国境を超えて移動できる現代は、日本でも海外でも、様々な「英語話者」と一緒に働く可能性が誰にでもあると思います。International Master’s Programmeは、アメリカ英語やイギリス英語だけでなく、世界中の多様な英語に触れられるすばらしい選択肢だと思います。
教授陣も多国籍
ユヴァスキュラ大学では、学生だけでなく教授陣も多様なバックグラウンドを持っています。私のプログラムには、フィンランド、ドイツ、エストニア、ベルギー、ロシア出身の先生方がいて、個性豊かで本当に面白いです。
世界中に友達ができる
ユヴァスキュラ大学には、短期の交換留学生もたくさんいます。それは、たくさんの出会いと別れを意味するのですが(涙)、同時に多くの友達を作るチャンスがあるということです。
私はこの秋学期に、ドイツから交換留学に来ていた女の子ととても仲良くなりました。はじめは同じ授業のグループワークで一緒になり、ランチを一緒に食べたりするうちに、休日に一緒に映画鑑賞やお菓子作りを楽しめるまでの仲になりました。
クリスマスクッキーを一緒に作りました!
勉強や趣味のことを遠慮なく質問したり語り合ったりできる友達がいると、モチベーションにもつながったよ!
彼女はもうドイツに帰ってしまいましたが、今度ドイツのおうちに遊びに行くことになりました。このように、「フィンランドを去る交換留学生の友人に会いに行く」という目的ができれば、外国を訪れるきっかけにもなります。
もともと、フィンランド滞在中にドイツに行く予定はありませんでしたが、彼女に出会えたおかげでドイツを訪れるというチャンスを手に入れることができました。こういう出会いがあるのも、留学の醍醐味だと思います。
まとめ
この記事では、フィンランドのユヴァスキュラ大学にある、International Master's Programmeについてご紹介しました。大学院での勉強は大変なことも多く、楽しいことばかりではありません。ですが、このプログラムを選択して本当に良かったと思っています。
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